高校時代、僕は受験生のようだ。
受験仲間がたくさんいる。
中学受験のようにも感じる。
なぜか、みんな沖縄の学校に行く選択肢が与えられたようだ。
大人たちに沖縄に何度か連れて行ってもらったようで、そのたびに沖縄を満喫する。
特に沖縄の海は素敵だ。
しかし、いつまででも沖縄で遊んでいるわけにはいかない。
いつかはどうするか決めなければならない。
そう思いつつも、「沖縄に行けばいいや」と、適当な決断をする僕とその仲間たち。
そう思いながら再び沖縄に行くと、少し迷いが出る。
その日は最終決断の日だったからだ。
沖縄から自宅に戻るまでに決めなければならない。
出発の飛行機のロビーに長机があって、そこで用紙に記入する。
「本当に沖縄で良いのだろうか?」
自問自答するたびに、沖縄は危険ではないかと思うようになる。
ふと隣を見ると、(高校生風の)イチロー選手がいた。
敬意を払いながらイチロー選手に話を聞くと、イチロー選手は沖縄を選択したようだ。
他の仲間たちもイチロー選手にアドバイスを仰いでいた。
アドバイスを聞いて沖縄を選ぶ仲間も多いようだ。
イチロー選手は必死に用紙に沖縄の良いところを書き込んでいた。
誰か宛てのメッセージのようだった。
しかし僕は思った。
「沖縄は基地があるし、攻撃されそうだ、もう少し考えよう」
僕はロビーを出て数人の仲間と沖縄を歩くことにした。
「もう一回、あのほのぼのとした風景を見に行こうぜ」
そう言って、沖縄ののんびりとした景色を仲間と見に行く。
「やっぱり沖縄はいいなあ」
そう思っていると、小学校の校舎のような建物に迷い込んだ。
「こんなところで時間を潰している暇はないし、早くここから出なければ」
そう思ったが迷路のようになっていて、なかなか出られない。
この学校迷路は過去に何度か訪れた。
仲間たちと「あっちでもない、こっちでもない」と話をしている。
3階のフロアあたりの音楽室のような場所に迷い込んだ。
古びた収納庫を開けると、蓄音機のようなものが出てくる。
不気味なのでここを立ち去ることにした。
僕らは一階フロアまで降りてきた。
すると、廊下のずっと先の突き当りに水着姿の娼婦のような女たちが二人いて、こっちを見て笑っていた。
「迷ってないで、来ればいいのよ」
そう言って、僕たちを追いかけてきた。
恐怖を覚えた僕たちは階段を急いで登った。
すると、突然階段の床がなくなったので、仕方なく階段の手すりをつたって上へ上った。
階段の手すりは負荷に耐えられず、ビスが外れかけたが、ギリギリのところで最上階まで登ることができた。
かろうじて僕らは不気味な娼婦から逃れた。
しかし、沖縄へ行く決断はまだできていなかった。