
どこかわからないが、雑居ビル、いや、オフィスビルの階段を降りている。
ビルから出たいのだが、どれだけ階段を降りても地上に出られない。
しかも、階段が狭い。
というか、このビルはフロアがなく階段しかないのか?と思うほど狭い。
階段を降りる際に人とすれ違うのもやっとだ。
と思ったら広いフロアもあり、オフィスビルの空間はゆがんでいた。
すれ違う人を避けながら階段を駆け下りていくと、どこかの会社に出た。
どこの会社だろう?
所狭しとデスクが窮屈に横一列に並べられていて、みんなまじめに仕事をしている。
小さなIT企業だろうか。
どこかで見た人がいる。
サラリーマン時代の同僚のYだ。
そして、端っこのデスクに座っている人物を見ると、その会社の社長のI氏だ。
もともとI氏は別の会社の社長だった。
元同僚のY、そして僕は、そのI氏の会社にいたのだ。
I氏は見た目がチンピラのような男で、そもそも社長としての能力がなく、僕らはI氏の悪口を言いながら、その会社でサラリーマン時代を過ごしたのだ。
しかし、I氏の会社の経営は傾き、やむなく他の会社に吸収してもらい、その際にI氏は社長を追われた。
その後のI氏がどうなったのか、誰も知らなかったが、こんなところで小さな会社を経営していたのだ。
それにしても、あれだけI氏の悪口を言っていたのに、なぜYはここにいるんだ?
そのことを尋ねると、Yは真顔で言った。
「やつは変わったんだよ。昔とは違う。仕事のやり方がよくなったから、この会社に入った」
外見から想像した感じでは、I氏が変わったように見えないが、まあ、Yが言うならそうなのだろう。
いったん、部屋を出て、再び階段を降り始めた。
階段が終わったと思ったら、外に出た。
どうやら、お寺へ続く道のようで、江戸時代の雰囲気がする。
辺りを見回す。
いや、ちがう、ここは外だと思ったら、ビルの途中階か、または屋上だ。
騙されるところだった。
そう思って再びビルの中にもどって、階段を降り始めた。
相変わらず狭い階段だ。
階段を降りていくと、階段と壁の隙間のようなところで仕事をしている人がいた。
階段なのかオフィスフロアなのかもわからない。
これ以上先へ進むと、ここらに積んである荷物のようなものが崩れてきそうだ。
辺りを見回し、回避する道を探すが、この山積みの荷物の上を歩くしかない。
しかし、上を見ると天井がなく、いつの間にか外に出てしまったようにも感じる。
いったいここはどこだ?
などと思いながら少し先に進むと、案の定、積んであったものが崩れ始めた。
崩れたものを見ると、まるでガラクタだ。
狭いオフィスの中で働く人たちは混乱した。
誰が積んであったものを崩したのだと文句を言っている人たちもいる。
自分が崩したことがバレないうちに逃げなければ。
崩れた荷物の上を土足で歩いて、先へ進む。
そして階段を降りていく。
すると、再び階段が途切れて、地上階のようなフロアがあった。
出口をくぐると、やはり先ほどのお寺のような場所に出た。
また途中階か、屋上階かと疑ったが、今度こそ地上のような気がする。
辺りを見回す。
お寺の本堂はまだ先にあるようで、ただお寺へと続く荒地が広がっていた。
壊れた墓石のようなものや瓦の破片などが落ちていた。
「慶応」という言葉が浮かんだ。
慶応大学が近くにあるのだろうか?
(目が覚めた後に調べたら「弘法寺」というお寺が慶応大学の隣にあった!)
先ほどはビルの屋上かと思ったのだが、やはりここはビルの外だ。
あのビルは空間がゆがんでいて、地上階だと思ったらそうでなく、ビルの屋上かと思ったら地上階なのだ。
お寺の方に向かっても意味がない。
そう思って再びビルの方へ向かった。
しかしビルへは戻らずに、ビルの前を通り、駅前に続く道を歩いた。
すると繁華街が見えてきた。
商業ビルが立ち並ぶ。
やっとまともな世界に出られた。
とある商業ビルの1階に中華料理屋があることに気が付いた。
見知らぬ男の子供が、その中華料理屋の前で立っていた。
小学3年生くらいだろうか。
中華料理を食べたいわけではなく、ただ、このお店のメニューを見ていた。
