
都内にいる。
繁華街だ。
渋谷だろうか?
歩いて駅に向かっているようだ。
人がたくさんいる。
駅に近づくと、なにやら人だかりがある。
タバコ屋?の前あたりで反射板のようなものを持っている人。
何かを撮影している。
よく見ると、反社版ではなくて、青い布?
横に長いブルーシートのようなもので撮影のシーンを隠している。
明らかに歩行者の邪魔だ。
何をやっているのだろうと覗き込むと、それを隠すかのようにブルーシートを移動させて見えないようにするスタッフたち。
ますます何をしているのかわからない。
確かめたくて、その場で立ち止まって様子を見る。
ブルーシートの中にはエキストラがたくさんいるから、やはり何かの撮影のようだ。
そうか、タバコ屋の前なので、タバコのCMのようだ。
テレビで見かけたようなシーンだ。
野次馬がたくさんいる。
彼らを押しのけて、小さな駄菓子屋の建物の中に入る。
いや、いかにも昭和の駄菓子屋の雰囲気だが、そこに駄菓子などの商品はない。
まるで屋根付きのバス停のように、簡素な待合室のようになっている。
ぼくはそこで中腰で座りながら何かを待つ。
何を待っているのかわからない。
すると、撮影していたCMスタッフの女性が待合室に入ってきた。
そして「邪魔だ」と言わんばかりに待っている人たちを傍若無人に押しのけた。
中腰のつま先立ちで座っていた僕も肩を押されてよろけてしまい、手に持っていたスマホ(スマホサイズの鏡?)のようなものを落として割ってしまった。
コンクリートの床に落ちたスマホは、鏡のようにバラバラになった。
スタッフの女性に「どうしてくれるんだ?」と詰め寄るが、その女性は意に介さない。
ふと振り向くと、そこで待っていた別の男性が言った。
「手を出すスタッフなんて、初めて見たぜ」
他の人も、女性スタッフの乱暴さに驚いていたようだ。
いや、そんなことよりもスマホ(四角い鏡?)を壊されてしまったのだから弁償してもらいたい。
そう思って、引き続き女性に詰め寄るのだが、やはり女性は僕に気が付いてないかの如く無視して何も言わない。
そこで、近くにいたCM撮影の若い責任者に詰め寄るが、よくわからない理屈を言い始めた。
どうにかして女性スタッフの失態をなかったことにして、その場で適当に取り繕って逃げようという魂胆のようだ。
「なにをいってるんだ、お前は馬鹿か?」
頭にきて、責任者らしき若い男に詰め寄るが、ついに逃げ出してしまった。
CM撮影スタッフは、なぜか若者ばかりで逃げ足が速い。
先ほどの女性スタッフなら捕まえることができそうだ、そう思って振り向くと、別の男性スタッフと逃げ去っていく後ろ姿が目に入った。
逃げられてしまった。
どうしよう、結局壊れたスマホ(鏡)は泣き寝入りか……。
そう思って落胆するが、器物破損なのだから、警察に通報すればいいということに気が付いた。
CMだからおそらく電通(等の有名企業)だろうし、警察に撮影許可を届けているはずだから身元は割れているだろう。
そう考えたら安心した。