なぜか僕はダンス教室に通っていた。
繁華街にある小さなダンス教室
しかし、あまり乗り気がしない。
ちょっと格好つけるために通い始めただけだからだ。
踊っている若い人たちを見ていると白けてくる。
うまい人たちは数人いて、これ見よがしにダンスを披露する。
そのうち通うのが億劫になる。
横を見ると、ヤンキー上がりの見た目の男がいた。
この男もダンスを練習しに来ているようだ。
そして、僕がダンスの練習に来ないことにいら立っているようだった。
どうして練習に来ないんだ?
次は必ず来ると約束しろ!
そんなことを言ってくる。
非常に面倒な男だ。
関わりたくないなと思う。
そのうち、僕はダンス以外のことで活躍を始めた。
それはダンスで得られる名声と収入を上回った。
結局、ダンスなどやらなくて良かったのだ。
ダンス教室の講師の人たちの僕を見る目が変わった。
ヤンキー上がりの男もいつの間にかいなくなっていた。
結局周りの評価というものはそんなものだ。
他人の無責任な期待に無理に沿おうとしても、うまくいくとは限らないのである。