
見ず知らずの老夫婦が住む平屋がある。
古い平屋で、市営住宅のような簡素なつくりだ。
そこに住むじいさんは、どこか見覚えがある。
じいさんと親しげに話すのだが、誰だかわからない。
じいさんと話していると、ばあさんが出てきて会話にまざる。
家の中には写真がかざってある。
その写真を見ると、随分と昔に撮影されたもののようだ。
じいさんは、写真を見て、当時の思い出を話す。
ただ、なんとなく、その写真からは不気味さが漂ってくる。
お墓を写した写真もあった。
全体的に、人の死にかかわる写真が多いようだ。
それが不気味さ、怖さの理由である。
ふと気になる。
こんな写真ばかり撮影して、呪われたりしないのだろうか。
しかし、じいさんは、とても陽気で気にするそぶりもなかった。