川が見える。
向こう岸まで30メートルもなく、それほど大きな川ではない。
川岸はなだらかな斜面で、斜面に住宅が何軒も川に面して建っていた。
その住宅の一つに住んでいた。
そこには、妻のような人がいるが、顔を見ると、おかっぱで白い顔をした目の小さな女。
誰だかわからないが、嫌な顔だ。
近くに夫がいて、僕は夫目線で見ている。
雨が降りはじめた。
それは徐々に大雨になり、川が増水して川岸まで水があふれだした。
水かさは家の床よりも上がり、窓の位置まで水が来た。
窓を見ると、窓とサッシの隙間から水が漏れ始めていた。
女に目張りをするためにガムテープを貸してくれと言うが、女は怒っていて渡してくれない。
そのうち家の中に水が入ってきてしまった。
男はなぜ協力しないのかと女に罵声を浴びせる。
女は腹を立てて、夫の食事に何か汚いものを入れた。
お互い、唾を掛け合うほど罵りあっていた。
我を忘れた大ゲンカで、ふと周りを気にした男は窓を閉めようとするが、大雨で壊れた窓は閉まらない。
喧嘩は続き、ついに男は離婚すると言い出して戸棚から離婚届を探し始めた。
翌日、男の母や親戚たちが家にやってきた。
大雨による川の増水で削られた土地を見て怖がっていた。
隣の家をみると、家の前の川岸はすべて削られて、深い崖になってしまっていた。
夫婦の家の前の土地も半分くらい削られて崖になっていた。