とあるマンガの作者がいた。
ゾンビもののマンガなので、恐らく少年漫画だと思う。
作者は男性でまだ若い。
そのマンガの作者の家に大勢で遊びに行くことになった。
作者の家にはたくさんのマンガやゲーム、色んなものがあった。
テレビにはゲームの様子が映し出されている。
僕はテレビの前でゲームの様子を胡坐をかいて見ていた。
ふりかえるとたくさんの招待客たちがいた。
そのうちの一人はブロガーのB氏のように見えた。
その部屋は全面ガラス張りだった。
とても、おしゃれな部屋だ。
ガラス張りとはいえ摺りガラスなので外の様子があまり良く見えない。
しかし、ガラス越しにアパートのような建物が見えることに気がついた。
周りの人に聞くと、それはバレーボールの日本代表の合宿所らしい。
建物には、たくさんのドアが摺りガラス越しに見えた。
すると、そのうちの一つのドアが開いて、バレーボールの選手が二人出てきた。
これから試合なのか、ユニフォーム姿だった。
二人はドアから出ると、それぞれ反対の方向に歩いて行った。
作者の家に招待されたニヤついた男が、それを見て妙に感心していたが、なぜ感心したのか理由がよくわからなかった。
さて、その作者が書いた漫画の内容のとおりに僕らは動かされていた。
どうも僕らは、その漫画を映画化したときのキャストのようだ。
つまり、僕らはマンガの主人公、わき役を演ずる役者・俳優なのである。
しかし、あまり良い役ではないと思っていた。
ゾンビ? らしき者に襲われる役だったからだ。
撮影の日を思い出す。
一人の男がゾンビから逃げる様子を怯えながら見守る人々。
そのシーンは異様にリアリティがあった。
あまりにリアルな演出なので、みんなこの役、映画から手を引きたいと思っているようだ。
「ゾンビが現れるのは漫画の1巻だけだ。2巻はゾンビは出ないだろ? 」
役者仲間の男に聞くが、彼は半笑いのまま何も言わなかった。
この男は、先ほど作者の家で、バレーボール選手を見てニヤニヤしながら感心していた男だ。
彼は誰にでもやたらと馴れ馴れしく接してくる。
ボディタッチが多いのもウザいなと少々気になっていた。
「一巻は紹介のためにそういうシーンを入れるが、二巻はもうないだろ? 」
再び男に尋ねるが、やはり、男は黙って笑っていた。
映画に出たくないと思った。
しかし、あくまでも役だから仕方ない。
これが俳優の仕事なのだ。
役だとわかっているから、怖くない……はず……。
心の中にモヤモヤを残したまま撮影に臨む。
二巻は学校のような場所から始まる。
どこか見覚えのある光景。
見覚えのある廊下。
とても嫌な場所だ。
ここは呪われた場所なのだ。
ここは直観的にヤバい場所だと僕はわかった。
何故だ、何故そうだとわかったのだ?
そうだ、思い出した、ここは以前に夢で見た場所だ。
何度も何度も繰り返し夢に見たから忘れるわけがない。
なぜなら、この廊下には殺された7人の生徒の首が並べてあった場所だからだ。
これは撮影ではないのだ。
そして、首を切ったのはゾンビではない。
何者かはわからないが、人間だ。
これは猟奇的な殺人事件である。
「ここはやばい、逃げろ!」と僕が叫ぶ。
すると一人の男がナイフを振り回してくる。
周りの人は撮影だと思っている。
最初に殺される予定の俳優は、逃げ回った挙句、ついにリアルに首を切られてしまった。
その切り取られた首は廊下に一つだけポツンと置かれた。
このあと残り6つが並ぶのだ。
それを見ていた周りの映画スタッフは凍り付いた。
僕は再び「早く逃げろ」と叫ぶが、スタッフたちは僕の声が聞こえてないようだ。