僕は布地を売っているお店にいた。
そこは現代ではなく、かなり古い昔のお店の造りをしていた。
日本ではなく、中世のヨーロッパのようなお店。
屋根はあるが床は土で、露店のように店内と外との境目が無かった。
地面に置かれた木製の四角い入れ物にクルクルと巻かれた布地が山になって陳列されていた。
狭いお店だが、たくさんの客がいる。
客が布地を見て、時に店主と話をしている。
店主は中年女性で、布地を売ると同時に、服を作る人、デザイナーでもあるようだ。
場面は中世のヨーロッパのようだが、そんな時代に服飾デザイナーがいたのだろうか。
その中年女性のデザイナー店主は、いろんな客と雑談などをしながら布を売っていた。
僕はその様子をつまらなそうに見ている。
服や布地に興味が無い、まるで子供のように、早く接客が終わらないかなと見守っている。
客が一通りはけた後、その中年女性の店主は、いくつかの布地を見繕って新しい服を作ろうとしていた。
やはり僕は、その見繕う様子を見てつまらなそうにしていた。
子供のように、早く仕事が終わらないかな~と退屈そうに見守っている。
お店の店主の中年女性は服飾デザイナーだったが、息子がいた。
息子デザイナーがゆくゆくはお店の後を継ぐようだ。
僕は、その息子みたいだ。
お店の奥の方は暗いアトリエになっていた。
アトリエとはいえ倉庫にもなっていたが、布地の在庫はほとんど置いてなく、ガランとしていた。
暗くて広いアトリエは3つあった。
床はお店と同様に土のままだった。
しかし、その土には店のロゴがさりげなく指で書かれていた。
それは、お客さんがアトリエに来た時に、目を楽しませるため、ブランドをアピールする目的で書かれたようだ。
さりげなく自然に、土にロゴが格好良く書かれていた。
そのロゴは、漢字のような文字が一文字の格好良いマークだった。
「攻」のような文字にも見えるが日本語、漢字ではないので何と読むかわからない。
それが中年女性のお店のブランド名を表しているようだ。
アトリエの地面に書かれたロゴマークは、中年女性が書いたものではなく、その息子が書いたものだった。
息子は服を作るというよりも、絵を描くことが好きだったようだ。
息子がアトリエの壁にチョークのようなもので絵を描いている。
それもまた、アトリエに訪れる人の目を楽しませるための絵だった。
絵の中心にロゴがあり、その周りに海がある絵だった。
書いている様子を見ていると、波の絵がいつのまにか映像になって動き始めた。
息子はとても絵が上手だったのだ。
息子は白いスーツ(?)のような服を着ていた。
デザイナーっぽくなろうと無理して格好つけている、そんな印象だ。
息子は母(店主の中年女性)と何やら話していたが、何を話しているのかはわからない。
場面が変わり、僕は寝床にいた。
まだ早朝だからか、少し寝ぼけていた。
僕が寝ている布団の横に、中年女性がいる気配を感じた。
愛おしい気持ちで手を伸ばすと、そこには僕の手を握る中年女性(母)がいた。
「仕事に行かないでほしい」と幼い子供のように僕は泣いていた。
わざと寝ぼけた可愛らしい声で同情を誘うように言うと、中年女性(母)の気を引けるのだ。
すると、その中年女性(母)は、いつのまにか妻に入れ替わっていた。
ていうか、その雰囲気は、まるで妻と同じだった。笑
妻は今日も布地を売って服を作る仕事だ。
絵をかくのが上手な子供の僕は、「自分も手伝う」と言うが、周りの大人たちは笑ってたしなめる。
お店は忙しいので従業員をやとっていた。
その従業員たちが僕を子供扱いするのだ。