インターネットで有名な男。
ブロガーのNだろうか。
その人物に会わせてくれるという紹介者の若い長髪の男が現れた。
僕は喜んでその男に「彼に合わせてくれ」と頼んだ。
紹介者の男は、僕を窓のない暗い部屋に招待した。
どこかの地下のようだ。
その部屋は広いが、床や壁は汚れていて重苦しい雰囲気が漂う。
まるでギャングやテロリストのアジトのようだ。
部屋の真ん中には事務用のテーブルが置いてあり、見知らぬ男女が向かい合わせに座っていた。
女は若く20代のように見えた。
男は中年で髪型はオールバック。
軍人がかぶるような青いベレー帽をかぶっていた。
その顔は、何年か前に日本にやってきたブータン国王に似ている。
中年男は僕の方を見てニヤニヤと笑っていた。
その薄笑いを浮かべた男こそがインターネットで有名な人物だった。
僕は中年男に「会えてうれしいです」と笑顔で挨拶をする。
中年男は相変わらずニヤニヤと笑っているが、向かいに座っている女の顔色を気にしているようにも見えた。
しばらくして中年男が僕に尋ねた。
「あのグループの話は知ってるだろ?」
あのグループとはどのグループだろう?
スマップの中居くんのことだろうか?
僕が返答に困って黙っていると、紹介者の若い長髪の男が口をはさんだ。
「インターネットを見ればその話が書かれているよ」
それを聞いて、僕は持っていたノートパソコンを広げた。
しかし、インターネットを見ると、IPアドレスから身元がバレてしまう。
僕はインターネットに接続することを躊躇した。
でも、スマップの記事は多くの人が見るし、特定されないだろうと思って見始めた。
その時まで僕は、男が言う「グループ」とはスマップのことだと信じ込んでいた。
しばしインターネットを見ていると、中年男が僕に話しかける。
「ほかにもいろんな隠しネタがあるんだよ」
なんのことかよくわからなかったが、とにかく僕たちは和気あいあいと会話をして楽しんだ。
会話をしているうちに中年男が大勢の人を集めていることに気がつきはじめる。
なんらかの作戦に参加できる人間を探しているようだ。
そうこうしているうちに、一人、また一人と暗い部屋に参加者たちが集まる。
すると、突如として中年男は立ち上がった。
作戦が始まったのだ。
皆が武器を取る。
これから戦いが始まるようだ。
僕は帰るに帰れなくて、仕方なくみんなの様子を見ていた。
皆の後をついて地下から出ると、そこは地下鉄の駅のすみに作られたアジトだった。
みんなは地下から地上に出て武器を持って走っていた。
そして街中でライフルの乱射が始まった。
彼らは周りの人たちを殺し始めたのだ。
いったいここはどこだろう。
中国だろうか。
僕はまるで傍観者のように突如として街中で発生した戦争・テロの様子を見ている。
すると、空から大きな羽音をたててヘリがやってきてテロリストたちに銃撃を始めた。
どこからともなく軍服を着た兵隊も出てきた。
ふと見ると、中年男たちが僕の方に銃を向けていた。
僕を撃とうとしているのかと思ったが、そうじゃなかった。
物陰に隠れて、敵を迎えうとうとしているようだ。
中年男はニヤニヤと笑いながら僕を見ていた。
いや、僕のことは見えてなかったのかもしれない。