プロ野球選手のタイトルについて検討をしている。
いくつかあるタイトルの中で問題視されているのが「キャバクラ指標」である。
1年で何度キャバクラに行ったか、多ければ良しとされるのだ。
こんな指標はおかしい、廃止しなければならない。
ちなみに僕はキャバクラ含めて風俗系の店に行ったことが無い。
生理的にキモチワルイのもあるが、必ず裏にブラックがいるからだ。
反社に金銭的協力をするようなものだ。
しかし、あるとき会社のみんなで行こうということになった。
その会社は僕がサラリーマン時代に勤めていた会社、いや、今のクライアントの社員さんもいる。
しかし、なぜ、そんな場所にみんなで行く必要があるのか?
それは、ある謎を解明しなければならいからだ。
夜、僕は先を急いだ。
雨が降ってきた、酷い雨になってしまった。
僕は雨をよけるため閉店した店の軒先で雨宿りをしながら、たまらず道行くタクシーを探した。
遠くを見ると会社の仲間たちもタクシーに乗り込む様子が目に入った。
「急がなければ。」
でも周りを見てもタクシーは走っておらず捕まえることができなかった。
「仕方ない駅前まで歩いて向かうしかない。」
そう決めて僕は駅前のキャバクラまで小走りで向かった。
向かう途中でキャバクラの呼び込みの連中とかち合った。
ろくでもないやつらだ。
咥えていたタバコを火がついたまま道端に平気で投げ捨てる。
でも駅へ向かう歩行者たちは彼らが怖いのか、誰も注意しないし嫌な顔一つしない。
この町はキャバクラが支配していた。
キャバクラは自らの宣伝のため歩道の真ん中にプロジェクションマップで広告を載せていた。
キャバクラを宣伝する黄色い服を着た悪い奴らが、歩行者に怖い顔して向かってくる異様な映像が映し出される。
なるほど、歩道の真ん中を歩行者が避けて歩いているのはそのためだったのだ。
歩行者たちは映像を怖くて踏めないのだ。
僕は頭にきて、ただ一人キャバクラの映像を踏みつけて駅前に向かった。
周りの歩行者は親切心で「やめときな、怖い目に合うよ」と僕に諭すように言った。
確かに先ほどのキャバクラの呼び込みの連中が僕をにらんでいる。
でも、僕には関係なかった。
誰かが世の中を変えようと思い、そして行動に移さねば世の中なんて1ミリも変わらないのだ。
誰かがやらねばならない。
僕がやるんだ。
駅前に着いた。
そこには仲間たちがすでにエレベーターの前にいた。
「俺が先に行くよ」
僕はキャバクラに乗り込んだ。
「11階だぞ」
仲間たちが僕に言った。
しかし僕は間違えて12階に行ってしまうが、すぐに修正して11階に着く。
間違うはずだ11階なのに地下あるのだ。
ホールは雑居ビルとは思えないほどに綺麗な場所だった。
そこに、知ってる顔の女性を見つけた。
あの東京オリンピックの女子ボクシングのメダリストだ!
彼女は僕らの会社の同僚でもある。
そしてよく見ると、そこには会社の仲間の女子たちもいた。
なぜこんな場所で働いているんだ?
働いている?
いや、そんな感じには見えない。
そうだ、僕たち仲間は、なぜ彼女らがキャバクラにいるのかを確かめることが目的だったのだ。
プロ野球の成績の話ではない。
そこを確かめなければならなかったのだ!