携帯電話の操作方法について。
僕が想定しているのが本来の方法のはずなのに、そうではないと言い張る誰かがいた。
本来は、上から二番目の方法をとらねばならないが、一番目の方法が通説だと言い張るのである。
言い張る人物は誰だかまったくわからない。
僕はその人物の言う一番目の方法で試すが、やっぱり違う結果が得られる。
一方で本来の二番目の方法を試すと、やっぱり予想通り、データは少ないが妥当な結果が得られる。
どう考えても僕の考える使用方法が正しい。
でも、そうではないという人物。
特にこの人物と争っているわけではなかった。
でも、おかしいなあと思いながらやりすごす。
周りを見ると、そこは観光地だった。
いや、観光地ではあるが、通学路にも見える
通っていた中学校の正門を北に見下ろしながら、坂道を登った辺りに立っている。
なぜかここは山上のような高い場所で、東を見ると眼下にはどこかの街並みが広がり、そのはるか東に海が見える。
ここは過去によく来た場所だ。
通学路の途中の観光地に小屋のような建物がある。
中に入ると薄暗い。
その小屋の中では小学校からの同級生で今も友達のTIと、サラリーマン時代の同僚が二人で何かクラフト的な作業をしていた。
何かを作っているのだが、それが何かわからない。
マニュアルも机の上に置いてあったが、そのマニュアル通りに作っている。
最初は仕事のように見えたが、趣味のようにも見えた。
そのうち数人ほどに人が増えて、遊んだり語ったりしている。
皆仲間のようだが、その二人以外は誰だかわからない。
みんな大人なのだが、まるで中高の教室で楽しくはしゃいでいるような時間だった。
こんなに楽しい時間なら、もう一度味わいたいと思う。
遊びの時間が終わって、僕ら数人の仲間は解散となった。
次の遊びの時間まで、しばし、仲間とはお別れだ。
名残惜しい。
せめて仲間と一緒に家に帰ろうと思ったが、既にみんな解散していてどこにいるかわからない。
先ほどまで遊んでいた場所に行くけど、誰もいない。
崖の上からその場所を覗き見るが、知らない人たちがバレーボールをしていた。
そのうちの一人は、サラリーマン時代の部長のように見えたが、よく見ると違う人だった。
彼らに仲間たちがどこに行ったか聞いても、笑ってこっちを見てるだけで誰も何も答えない。
仕方がないので、再び、先ほどの小屋のような場所にっ行ってみた。
そこにはTIと元同僚がいるはずだ。
そう期待して小屋のドアを開けて中を見ても誰もいなかった。
仕方なく小屋の引き戸を閉めて外に出た。
通学路の坂道を一人で歩きながら、物足りなさを覚える。
高いところから東側の風景を見渡すと、海が遠くの方に見えた。
通学路に似ているのだが、やっぱり観光地のようだ。
ふと、この町のどこかに妻がいたことを思い出す。
しかし、妻はまだ仕事をしているはずだ。
でも、今日は仕事を早く切り上げても良いはずだった。
なぜなら、もともと今日は仕事しなくても良い日だから。
そう思って妻に電話をかけようと携帯電話を取り出す。
その携帯は昔使っていたガラケーで、20年以上前のタイプのものだった。
どうしてこんなに古いものがポケットに入っているのだろう。
そのせいか、電話帳に妻の名前が出てこない。
必ずあるはずなのに出てこない。
おかしいなと思って色々と触っていると、過去20年くらいに送信したメールが誤って全ての人に一斉に再送されてしまった。
これは困った、嫌いな人、会いたくもない人にも送信されてしまったからだ。
「面倒くさいことにならないといいのだが……」
そう思いながら、再び妻を呼び出そうと電話帳を探す。
ここは観光地なので、二人で観光したいと思ったからだ。
もう正午を過ぎたが、午後は二人で観光できる。