古い家にいる。
子供の声がする。
妻方の姪っ子、甥っ子らだ。
甥っ子がとくにはしゃいでいる。
そこにはたくさん人がいて、妻の両親や姉妹、その子ら、とにかく大勢の人がいた。
亡くなったはずの妻方の義父もいる。
僕もそこにいるのだが、僕の両親もここにいるような感じがする。
しかし、はっきりとわからない。
そこは、とにかく古い家だった。
平屋になっていて、築40年くらいは過ぎているだろうか。
外壁は緑色のペンキが塗られた、錆びだらけのトタン。
台風のせいで、風でトタンがめくれている。
いつの間にか外壁に隙間が空き、雨風が入り込むようになってしまった。
ぼくはそこに板を張って修理するが、隙間は埋まらず家の中に雨が入り込んだ。
壁の向こうの部屋はもう使えない。
家の中では子供たちがはしゃいでいた。
そのとき、とある部屋のドアが気になった。
ここの部屋は嵐で壁が壊れて風や雨が入りこんでしまう部屋だった。
まさか誰かいるのではないか?と思ってドアを開けると、そこには70代くらいの女性が数人いた。
親戚のようにも見えるが、誰だかわからない。
どうして雨風の入り込む酷い部屋にいるんだと思って、早く部屋から出るように言う。
そこにいた人はみな僕に感謝して、暖かい部屋に移動した。
よく見ると、既に亡くなった父方の祖母もいた。
押し入れから座布団を出そうとすると、すでに別の高齢女性が座布団をみんなに配っていた。
改めて僕は感謝された。
風はますます強くなる。
不安に襲われていると、年配の男性の静かに警告するような声がした。
「ついに来たよ!」
その時だった。
家全体がガタガタと揺れ出した。
子供たちは泣きわめき始めた。
そうしたらよいか戸惑っていると、若い人たちが窓を開けて風雨の中飛び出して行った。
それを見た別の若い人らも真似をして、揺れる家から逃げ出していった。
どうしよう、僕も逃げた方が良いのだろうか。
窓の先を見ると、若者らが逃げた先の地面が崩れていった。
彼らは助かっただろうか、崩れた土砂で生き埋めになってしまったのではないだろうか。
まだ家の中には人がたくさんいる。
の様子では窓から逃げ出すのも危険だ。
どうしようかと迷っていると、そのうち家が傾きだした。
僕の背中に何かとても重いものがのしかかってくるような感触を得た。
家が崩れ始めたのだ。
もう終わりだ。